果たしてTwitterはマーケティングやブランディングのツールとして使えるのか?
只今人気急上昇中のTwitterですが、このサービスをマーケティングやらブランディングのツールとして模索している人って結構多いようです。
でも、実際に日本ではそういったツールとしてTwitterを活用できるんでしょうか?その辺のことを、最近チラホラとTwitterをいじっている私が、その感想でも述べてみようかと。
ぱっと考えたところ、現在のTwitterがビジネス・ツールとして機能させるために抱える問題点は、大きく分けると3つほどあります。1つは、その規模の内容。2つめは、コンテンツの価値を高めづらいTwitterの特性。そして3つめは、その人気の耐性です。
規模の問題
まずは規模の問題。現在日本におけるTwitterのサイト訪問者は78万人とも言われ、100万人を超えるかの勢いです。が、現在のこの規模でマーケティングを行なおうとする場合、正直分母が少な過ぎです。「十分通用する数じゃね?」とか思う人もいるかもしれませんが、例えば78万人規模の都市を1つ抽出するのと違って、その規模の構成内容に大きな偏りが見られます。現在のTwitter利用者が、多くの市場で想定される平均的な層とは言い切れないわけです。
だって、現在のTwitterの利用者層は、アーリーアダプターからアーリーマジョリティーへの過渡期と考えられますから、比較的技術的なものに早めに飛びつく層で占められているわけです。少なからずとも平均的な対象者よりもその行動性向が若干ずれています。モバイルでTwitterとかいった場合、iPhoneで盛り上がったりするわけでしょ。でも、一般的なケータイ・ユーザーがiPhone持ってる比率は少ないですって。
こういった点を踏まえれば、現在のTwitterの利用者をビジネスにおけるターゲットにしようとする場合、そのコンセプトに合致するビジネスは限られてくるわけです。大方のビジネスがTwitterをマーケティング・ツールとして機能させるためには、キャズムを超えて一般的な普及へとタッチするまでを待たねばならないことになります。
コンテンツの価値を高めづらいTwitterの特性
あるインフラやサービスを用いてマーケティングを行なったり、ブランディングを試みる際に、最も大きな課題は自己のコンテンツ利用者を増やさなければいけないということです。人が集まらなければ売れませんし、また集めることが出来なければブランディングの意味もありません。なので、Twitterにおいては、フォロー数を増やす必要があります。
では、どうやって増やすのか?例えば、こちら側からフォローしまくって、それに返答するかのようにフォローを返してもらうことで増やすと言うやり方があるでしょう。また、フォローしてくれた人に何らかの特典を与えることでフォロー数の増加を試みることも出来るかもしれません。
しかし、その様なフォロー増加は、結果として実体が薄い、つまり数は集まっても実際にtweetに目を通してくれる可能性は非常に低いわけです。もっと能動的・積極的なフォロワーを増やす必要があります。
そのためにはまず、自己のコンテンツの価値を高める必要があります。ブログにしろSNSでコミュニティーを作るにしろ、そのコンテンツの価値が低ければ、人は集まりませんし、信頼も共感も得られません。ですから、ビジネス・ツールとしてTwitterを用いるのであれば、自らのアカウント内でのコンテンツの利用価値を高めなくちゃいけないわけです。
ところがTwitterはその特性上、情報価値を高めづらい位置にあると言えます。これに対しては、2つの方向性から考えられるんじゃないかと。1つは、よく言われる情報の流動性。そしてもう1つは、しょせん「つぶやき」だということです。
情報の流動性
まず1つは、情報の流動性です。Twitterの情報は、いわば電光掲示板で流れるニュースの様なものです。リアルタイムで情報が流れていく様を目の当たりに出来るという利点がありますが、情報をストックし整理しつつ使うことにはむいていません。フロー型の情報サービスと捉えた方が良いでしょう。
となると、Twitterで自己コンテンツの利用価値を高めようとする場合、この流動性が長所となるケースと短所となるケースが出てくるわけです。
長所となるケースは、ニュースサイトなどがTwitterを利用する場合。先の例えの通り、Twitterの情報は電光掲示板に流れるニュースの様なものですから、速報性を必要とするニュースサイトなどは、Twitterを利用する価値が大いにあるわけです。
しかし、その逆に流動性が仇となるケースもあります。例えば、そうですね、う~んと・・・じゃあスキンケア。スキンケアのメーカーにしろ販売店にしろ、Twitterでそのコンテンツの利用価値を高めるためには、顧客にとって有用な価値ある情報を提供し続けなければいけません。ところが、スキンケアというジャンルに絞ってみると、そう簡単に新着ニュースは現れません。ニュースがなければ流せない。新商品の紹介やセールなどの新情報をたまに提供しても、フォロワーがその瞬間もしくはある程度の時間範囲内でTwitterを利用していなければ、その情報を見せることは難しくなってきます。相手の利用頻度が低ければ、その情報に出くわすことは稀になりますし、逆にヘビーユーザーになればなるほど、フォローしている数が増えるため大量な情報の中から相手の目を留まらせる情報を提供していくことは難しくなっていくわけです。
では、ニュースを流す頻度が低いジャンルのビジネスは、コンテンツの価値を高めるために他にどんな情報を利用者に提供するのでしょうか?多くの場合、それは成分などの基礎知識をコンテンツに載せることだったり商品の有益な使い方を提供することだったりします。しかし、こういった情報はストックされなければ意味がありません。コンテンツ内部からいつでも引き出しやすい状況で情報が置かれていなければ、意味がないわけです。しかしTwitterで流される情報は、次から次へと過去のものとして遠くへと流れ去っていきます。お気に入りの機能もあることはありますが、Twitterがその情報をストックしたり整理したり検索で引っ張り出していくことは、他のサービスに比べ不向きであることは事実でしょう。
ですから、情報の流動性という特徴を上手く利用できないジャンルのビジネスからすれば、Twitterをツールとして選択する理由が見当たりません。
しかし、もっと大きな問題点は、流動性よりも「つぶやき」という形態にあるんじゃないかと。
情報価値を求めない「つぶやき」という現実
Twitterは1つの記事を140文字という少ない文字情報で提供します。しかも、タイトルがつけられないし、カテゴリ分けも出来ない。この制限下において、1単位の小さい情報をコンセプトから外れることなく、しかも利用価値の高い形で次々と提供できる企業や人が一体どれくらい存在するんでしょうか?
もし、それくらいの力量があるのであれば、Twitterなどではなく、もっと別な形で直接大きな収益を手にすることが可能でしょうから、その様な人がTwitterから去っていくのは自然の理です。
しかも、情報の受け手自体が、高い情報価値をわずか140文字以内の言葉に求めていないとも考えられます。そもそも雑談程度の会話がリアルタイムで感じられ共有できたらそれで良いと思っている人が、Twitterを楽しんでいるわけですから。しょせん、つぶやきは「つぶやき」なんです。
で、このことはむしろマーケティング・ツールとしてではなく、ブランディング・ツールとして致命的です。「つぶやき」がニュース速報やリンクを貼った広告として活用はできても、それ以上の価値を形成できないのであれば、自社や自己のブランディングには、全く役に立ちません。1つのコンセプトに基づいて「つぶやき」し続けることが非常に難しく、しかも1つのつぶやきに情報価値を濃縮しづらい状況において、一体どうやってブランドを構築しろというのでしょうか?単なる雑談+αでブランディングが出来るほど、ビジネスは甘くありません。
いやね。でも、ブランディング出来るケースはあるんですよ。しかしそれは、ブランドの構築というよりは、ブランドの強化としての側面です。
ブランドを強化できるTwitterの威力
例えば、「おはよう」。このつぶやきにたいした情報価値はありません。
でも、本当でしょうか?
実は、「情報」というものは、その情報そのものだけに価値が存在するわけじゃありません。情報の背景にある属性、例えば誰がその情報を発信したか?という情報発信者によって、情報の価値は変わってくるわけです。
例えば、「おはよう」。このつぶやきが、全くの見ず知らずであり興味のない人のつぶやきとしてWeb上に現れた場合、それは雑音にしかならないのかもしれません。しかし、その「おはよう」が友達だったとしたら?「あ。アイツ、今起きたな」といった具合にイメージが沸いてきますし、感情に多少の揺れが生まれるはずです。
では、この「おはよう」が有名人、例えば憧れのタレントさんだったりしたらどうでしょうか?普段は知るところのない有名人の言葉を、リアルタイムで目の前のWebで接することが出来るわけです。情報の受け手にとって、それは大きな意味を持ちます。遠い憧れの存在だったはずの相手が身近に感じられるだけじゃなく、今この瞬間を共有しているという特別な感情すら喚起しかねません。ましてや自分が思い切ってこのタレントに「 おはよう。今日も元気で頑張ってください」とRepleyしてみることも可能ですし、ましてやその返事が返ってくるとしたら・・・
もうお分かりの通り、既に特定の分野もしくは情報受信者の心理的な面において一定のステイタスを確立している会社や人などは、単なるつぶやきが情報の受け手にとって大きな意味を持たせることが可能になるわけです。つまりTwitterは、既に構築されているブランドを更に強化させる可能性を大きく秘めていると言えます。
もちろん、タレントなど有名人・著名人の日常を垣間見るには、ブログでも可能でしょう。しかし、ブログはTwitterの様にライブ感覚でその言葉を受け手に与えることは難しい。しかも、Twitterでは単独の発言だけでなく、他者との会話すらリアルタイムで第三者に見せることが可能になるわけです。今まで知られることのなかった意外な横顔をファンをはじめとする様々な人々に披露できるということは、Twitterならではと言えるはずです。
さらにもう1つ加えるならば、Twitterの「つぶやき」という特性から、情報受信者に対して発信者は、接触頻度を増やすことが可能だという長所が挙げられます。マーケティングにおいて、顧客との接触回数を増やすことが売上促進につながるということは既に周知の事実です。Twitterにとってみれば、まさにその利点を活かせるサービスを提供していると言えます。
この様にTwitterの持つ「つぶやき」という特性は、ある程度ステイタスを確立した会社や人にとってみれば、革新的なサービスであるといっても過言ではありません。もちろん、使い方を誤れば、毒にもなるということは言うまでもありませんが。
また、有名人・著名人でなくとも、自己ブランドを強化する方法も考えられないわけでもありません。ただし、Twitterによるブランドの構築そのものは難しいわけですから、既存媒体からTwitterへの誘導、つまり
ブログの閲覧者・メルマガの読者・商品の購入者 → Twitterのフォロワー
という流れを組むことで、他の媒体で構築したブランドを強化することは可能なのかもしれません。
危険な人気の耐性
ただ、3つめの問題点として、人気の耐性というものが考えられます。耐性というのはこの場合、一端おきた熱がどこまで維持できるかということです。そして、Twitterには熱しやすく冷めやすいという特性が備わっているんじゃないか?というのが、正直な私の感想です。
Twitterにおける面白さは流動的な情報をリアルタイムで共有することですから、ある意味流行は起こりやすいのかもしれません。しかし、それは流動性のもとで直ぐに過去のものとなることの裏返しとも言えるんじゃないかと。熱もあっという間に冷めてしまうという危険性が高いように感じます。もちろんこれは、あくまで私がそう感じている範囲であって、実証して見せたわけじゃありません。今後ふぁぼったーなどで示されるワードの移り変わりの激しさがそれを裏付ける結果となるかもしれませんが、私はそんな計測、面倒くさくてやってらんねーということが前提の個人的な感想です。
しかし、想定した様にTwitter内で起きた流行りが非常に短い一過性のものであれば、ビジネスとしてそこに乗っかることが難しいばかりでなく、自力で起こした流行さえ捉えるタイミングを逃してしまう可能性が大きいということです。これは、マーケティング・ツールとしては非常に厳しい状況です。
また、先ほど述べた接触回数の多さというのは、長所の裏側で非常に大きな問題を抱えています。それは、「飽きる」ということ。最初のうちは良いのですが、それが繰り返されるごとに人はその対象に対して飽きていきます。珍しくもなんともなくなり、コモディティ化していきます。日常化してしまえば、次第に気に留められなくなっていきますから、逆にブランドの価値を低めてしまう結果も考えられるわけです。
さらに、Twitterというサービス自体の熱が、どれほど維持できるのかという問題があります。サービスには、その時代において様々な盛隆がありますから。Twitterが流行っているからと言って、それがいつまでも続くとは限りません。
ましてや、他のビジネス・ツールに比べると、Twitterの人気は長くないんじゃないかとも言える状況だって考えられます。例えば、同じ盛隆の中にあっても、メール・マーケティングはその性質がブッシュ型であるという強力なマーケティング・ツールですし、メールそのものがネット利用者にとってスタンダードとなっているため、一時の勢いはないにしろ、廃れるまでには至っていません。しかし、コンテンツがしょせん「つぶやき」であり、コミュニティーとしてのつながりも「ゆるい」ことを特徴としてもつTwitterが、どこまでこの盛り上がりを維持できるかと言えば、大きな不安は隠し切れないはずです。
この様に利用者の熱が冷めてしまった場合、その被害を最小限に食い止めるには、Twitterにおける自己の着地点と引き際を、予め設定しておく必要があるんじゃないでしょうか。
とまあ、以上が1ヶ月程度しかTwitterをいじったことのない私の感想です。問題提起が多いように思えますが、別にだからと言ってTwitterのマーケティング・ツール、ブランディング・ツールとしての可能性を否定する話じゃありません。まだ気づかない可能性や問題点は、これからも出てくるでしょうし、それを乗り越えることがある意味ビジネスそのものとも言えるわけですから。
今から参入しておいて上手くいけば先行者組に入りますし、仮に上手くいかなくともTwitterにかける投資費用など微々たるものでしょうから、試験的な意味合いも含めて早期参入のリスクはかなり少ない様に思います。「ビジネス・ツールとしては使えねーよ」とか言って切り捨てるよりは、その模索する姿勢を高く評価するべきだと思いますけどね。
ps:
ちなみに、自分のつぶやきをフォローしてくれている人のことをフォロワーと呼ぶかどうかは定かではありませんが、ここではそういった意味で使っています。